頑張っているスタッフとやる気があまりないスタッフがいるから、賃金で差をつけたいので相談に乗って欲しい。

先日とある院長から依頼を受けてお話を伺いました。

とても熱心な先生で、自ら評価制度を作ったので見て欲しいとのことでした。ただ、内容を拝見すると、いくつか問題点がありました。

院長が作った評価制度の3つの問題点

1.賃金を決めるためのものになっていた

1つめは、賃金を決めるための評価制度になっていたことです。
評価制度は、賃金を決めるためのものではなく、スタッフの成長を促すためのものです。

賃金を決めるための人事制度がうまく機能しないのはなぜでしょうか。理由は、評価に必ず当初の目的とは異なる意図しない調整が入るからです。

賃金を決めるために人事制度を作ると、こういうことが起きます。

スタッフは、「これで賃金が決まる」と考えて評価シートに自分の評価をつけるでしょう。

院長も「点数をあまり低くつけすぎるとモチベーションが下がるから止めておこう」と考えます。もっと改善してほしいところがあるのに、本人のモチベーションに気をとられて成長して欲しい弱点に目をつぶってしまいます

スタッフを成長させるための評価制度のはずが、賃金を決めるための制度にしているため、これではスタッフの改善や成長は見込めません。

中には「ウチはスタッフの能力が低いから評価制度を作ってもみな評価は低くなり、賃金が下がる。そうするとスタッフは不満になるから導入できない」と言われる先生もいます。

スタッフの成長を促すためであれば、評価制度の点数が低くても、これから伸ばしていけばいいのですが、賃金を決めるための評価制度にすると、最初から賃金ありきの出来レースのような評価制度となってしまいます。

2.階層も職種もごちゃまぜの評価制度だった

先生が作られた評価制度は、医師、看護師、看護助手、受付事務が全て同じシートにまとめられていました。
入ったばかりのスタッフも事務長や師長も同じ1つのシートになっていたのですが、これでは評価がうまく機能しません。

評価する内容は職種ごとに異なりますし、階層ごとにも異なりますので、1つのシートで全て評価するのは無理があります。

例えば、全ての階層を1つのシートで評価すると、主任であるAさんも一般職員であるBさんも、それぞれの階層では優れているはずが、「BさんはAさんと比べると劣るからこの点数かな」と考えてしまいます。

また寡黙だが卒なく仕事をこなす看護師であるCさんと患者さんへの対応がいい受付スタッフのDさんとでは、それぞれが異なる仕事をしていますので1つのシートで評価できるものではありません。

今回ご紹介した例は、ほんの一例に過ぎませんが、このように間違った評価制度を作成してしまうと、スタッフの成長を促進するばかりか阻害してしまっていることが起きてしまいますので、正しい人事制度を構築する必要があります。

3.評価項目が、収益増につながるものでなかった

また、評価項目がクリニックの収益増にリンクしていませんでした。
評価項目を作るときは、院長がこれまでスタッフを評価していた方法を一度全て言葉にして形にして示したうえで、医業収益を上げることを目的に組み立て直す必要があります。こうしなければ人事制度を作っても医業収益は上がりません。

医業収益をあげるため、院長が各スタッフに期待する役割を明確に形にします。
どうすれば結果が出るのか、結果とプロセスと関連づけた評価制度の設計でなければ、スタッフの成長にはつながりません。

正しい人事評価制度とは?

人事制度には賃金を決める要素もありますが賃金を決めるための評価制度(目的:賃金を決める 手段:成長を評価する)ではなく、評価した結果の賃金(目的:成長を評価する 手段:成長に賃金で応える)です。
院長が職種・階層ごとに何を求めていて、どうなってほしいのかを必ず事前にスタッフに開示して、開示した内容をもとに評価を行います。

例え今は、1点や2点でも、5点に近づけていけばいいのです。
点数が低ければ、それだけ伸びしろがあるということになります。スタッフの点数が伸びていく過程で成長を確認できるので、次はどこを伸ばせばいいのか、結果につながるのかがわかります。

結果として、貢献度の高いスタッフに処遇で応えるのが評価制度の正しいありかたです。

正しい人事評価制度を運用すれば、スタッフも飛躍的に成長し、患者さんの満足度も高まり、医業収益も向上します。

あなたの病院の評価制度は、スタッフを成長させて医業収益を上げる仕組みになっていますか。


このようなことにご興味がある方のため、無料相談を実施しておりますので、ぜひご利用ください。

メルマガで新着コラムを配信中

社長・院長のための人が辞めない組織の作り方メルマガ
  • メルマガをご登録いただきますと、コラムを継続的に配信します
  • 不要になりましたら、すぐに解除できます
  • ご興味がありましたら、ぜひご登録ください